人物・評伝

人物紹介 002

2015年4月14日

内村鑑三

うちむらかんぞう

【内村鑑三】

評伝〖内村鑑三〗

預言の声14矢内原忠雄〖時勢の動きと預言者の声②〗

注1「教育勅語と内村鑑三不敬事件」

晩年の内村

 1861(万延2)3.23~1930(昭和5)3.28


  思想家、キリスト教伝道者。無教会(むきょうかい)という、輸入された教派によらない日本独自のキリスト教信仰のあり方を唱道。

 

 江戸小石川の高崎藩武士長屋に生まれた。高崎で幼年時代を過ごし、厳格な儒教教育を受けた。東京外国語学校(のち東京英語学校、東京大学予備門)を経て、1877(明治10)年、札幌農学校の官費生となった。 

 

同年、W.S.クラークの残した「イエスを信ずる者の契約」に署名し、1878(明治11)年、メソジスト監督教会M.C.ハリスより受洗し、キリスト教に入信。


同校卒業後、開拓使(のち札幌県)に就職、この間、同窓の新渡戸(にとべ)稲造、宮部金吾らと外国の教派から独立した札幌独立教会を設立。1883(明治16)年、札幌県を辞し東京に出て、農商務省水産課に勤務。日本産魚類目録の作成に従事。しかし、志を得ず、1884(明治17)年11月、結婚の破局も重なって渡米。

 

 

1885(明治18)年1月ペンシルベニア知的障がい児養育院の看護人となった。同年9月、新島襄(じょう)の斡旋(あっせん)でアマースト大学に入学。1986(明治19)年、J.H.シーリー総長の感化により回心を経験。1887(明治20)年、同大学卒業後、ハートフォード神学校に入学したが病気となり、1888(明治21)年、帰国。

 

新潟の北越学館の仮教頭などを経て、1890(明治23)年、第一高等中学校(東京英語学校の後身)の嘱託(しょくたく)教員となった。1891(明治24)年、同校の教育勅語(ちょくご)奉読式で、勅語の天皇の署名に対し宗教的礼拝を拒み、いわゆる内村鑑三不敬事件を起こして、職を追われた。


その後、大阪、熊本、京都、名古屋などを流浪しながら、窮乏生活の中から『基督(キリスト)信徒の慰め』(1893年)を刊行、その他『求安録』(1893年)、『(よ)は如何(いか)にして基督信徒となりしか』(英文、1895年)などの名著を著した。


1897(明治30)年、『(よろず)朝報』英文欄記者、1898(明治31)年『京独立雑』主筆となり、軍国主義に向かう時代の中で軍備縮小を唱えるなど、政治や社会の矛盾を突く鋭い論調を貫き、ジャーナリストとしても注目された。同年7月、足尾銅山鉱毒事件で社会正義を主張し、理想団の結成に加わった。

 

日露(にちろ)争に際しては、信仰の立場から絶対非戦論を唱えるなど、信仰と世界的視野に立つ愛国・正義の論陣を張った。ロシアとの開戦気運が高まる中、1903(明治36)年、非戦論をゆずらず万朝報社を退社したが、その主張は最後まで変わらなかった。


キリスト教に関しては、1900(明治33)年、雑誌『聖書之(の)研究』を創刊し、生涯その発行を継続した。第1次世界大戦が起こると、近代文明を批判し、再臨(さいりん)運動を展開した。

 

十字架教と称した福音信仰と「2つのJJesusとJapan)」(注1)に捧げた生涯は、独自の無教会主義を生み、キリスト教界のみならず、日本の教育、文学、芸術をはじめ、多くの方面に広く、深い影響を与えた。


門弟に、藤井武(ふじいたけし:独立伝道者) 、畔上賢造(あぜがみけんぞう:独立伝道者)、三谷隆正(みたにたかまさ:哲学者、一高教授)、塚本虎二(つかもととらじ:独立伝道者)、黒崎幸吉(くろさきこうきち :独立伝道者、聖書学者 )、矢内原忠雄(やないはらただお:伝道者、東京大学総長)、金沢常雄(かなざわつねお:独立伝道者)、政池仁(まさいけじん:独立伝道者)、南原繁(なんばらしげる:東京大学総長)ら、伝道および各界に活躍する有為(ゆうい)の人材を輩出した。

 

『内村鑑三全集』(新版全40巻、岩波書店、1980-84)がある。

 

 

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(参考文献:『キリスト教人名辞典』日本基督教団出版局、1986年、『岩波 キリ スト教辞典』岩波書店、2002年、鈴木範久著『内村鑑三』岩波書店、1984年、 鈴木範久著『内村鑑三の人と思想』岩波書店、2012年、『ブリタニカ国際大百科事典』)

 

注1 内村鑑三の墓碑銘

以下は、米国アマスト時代に内村が、愛用の聖書に墓碑銘(ぼひめい)のためにとして、書きとめた有名な詩。  

 

I for Japan;            われは日本のために

Japan for the World; 日本は世界のために

The World for Christ; 世界はキリストのために

And all for God.     すべては神のために

 

注2 内村鑑三特愛の讃美歌

讃美歌260番(讃美歌21 449番)「千歳(ちとせ)の岩よ」へ

 

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