
イエスの純福音・無教会の精髄・第二の宗教改革へ
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最終更新日:2025年6月24日
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歴史的事実としてのイエスの生涯
さかまき・たかお
はじめに
キリスト教は《歴史的宗教》であると言われる。
それは、キリスト教信仰が〈イエス・キリストの歴史〉にかかっているからである。
キリスト教の対象は、〈悟りの宗教〉や哲学が探究するような抽象的・非歴史的・無時間的な真理ではない。
キリスト教の真理は歴史的・具体的なものであり、神の呼びかけはいつも具体的である(ヨハネの手紙Ⅰ 1:1 参照。注1)。
神はアブラハムに語りかけ、イサクに呼びかけ、ヤコブに現れたもうた。
したがって、イエス・キリストの生涯とその意味について適切に考えるには、歴史的事実を踏まえることがきわめて大切である。
以下、客観的・学術的な記述で知られる『詳説 世界史研究』(山川出版社、2017年)から、イエス・キリストに関する記述を引用する。
簡明かつ要を得た記述は、イエスの生涯を理解する上で非常に有益と考えられる(キーワードを太字で示した)。
(「はじめに」の参考文献:寺園喜基ら著『現代を問う神 キリスト教入門』ヨルダン社、1984年、第5節「神の言葉」)
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『詳説 世界史研究』(山川出版社、2017年)の記述
〔ローマ帝国支配下のユダヤ、その辺境ガリラヤ地方の田舎町〕ナザレに生まれたイエス Jesus(紀元前4年頃~後30年頃)は〔、先駆者である洗礼者〕ヨハネの影響を受けて〔ヨルダン川で洗礼を受け、ヨハネの死後〕、〔紀元〕後29年頃からガリラヤ地方で〔独自の宣教〕活動を始めた。
彼は〔、エルサレム神殿の祭儀(さいぎ)をつかさどり、その利益を独占した〕祭司や〔律法の外形的・形式的遵守(じゅんしゅ)の徹底を主張し、《不浄の民》を排除した〕パリサイ派の形式主義と堕落(だらく)を批判し、神の愛は貧富〔、浄・不浄〕の区別なく万人におよぶ絶対的な愛であり、その愛を信じて隣人を愛し、おのれの敵のために祈れと説いた。
そして旧(ふる)い律法〔の遵守じゅんしゅ〕は〔、人に自己の不完全と《罪》の自覚をもたらすのみで、誰にも〕救いをもたらさず、《神の国》は信じる人の心の中に到来するものであり、・・その実現は近づいた〔、イエスの到来と共に、すでに《神の国》は始まっている〕と《福音》を宣(の)べた。
イエスは現実のローマ帝国による支配を肯定も否定もしなかったが、彼の説(と)く福音は貧しい人々、悲しんでいる人々、病者、差別された人々の心を癒(い)やし、女性や下層の民衆はイエスを救世主(ヘブライ語でメシア Messiah:「油注がれた者」の意、ギリシア語でキリスト Χριστος クリストス)と信じて、彼の教えに従うようになった。
〔宗教指導層の〕祭司やパリサイ派はイエス〔の言動〕に警戒感を抱いたが、一方で〔熱心党などの〕民族主義者はイエスに政治的な指導〔による反ローマ武装闘争〕を期待した。
イエスはやがてユダヤ教の中心地〔聖都〕エルサレムに入ったが、現世(げんせ)での救済〔を約束する政治的メシア〕をイエスに期待していた人々は〔、イエスの態度に〕失望し、祭司・パリサイ派〔によって構成された最高法院 サンヘドリン〕は、彼を〔死に追いやるべく、〕ローマに対する反逆者として属州ユダヤ〔のローマ〕総督ピラト(ポンティウス=ピラトゥス、任 26~36年)に訴えた。
ピラトは〔イエスに罪を認めず、〕彼を許そうとしたが、集まった群衆は承知せず、イエスはエルサレム郊外のゴルゴタの丘で十字架にかけられ処刑された(紀元30年頃)。
しかしその後、弟子たちの間にイエスが《復活》し(復活信仰)、その十字架上の死は〔すべての〕人間の罪をあがなう〔ための〕行為であったとの〔贖罪〕信仰が生まれた。
この信仰を中心に〔して〕、〔歴史の終末における〕イエスの再臨(さいりん)と《神の国》の到来〔・完成〕を待つ〔信仰〕共同体がガリラヤやエルサレムにつくられ、ここに原始キリスト教〔会〕が成立した。
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(参考文献:立教大学教授・木村靖二、お茶の水女子大教授・岸本美緒、東京大学名誉教授・小松久男編『詳説 世界史研究』山川出版社、2017年、62項より引用。〔 〕内、《 》、下線は敷衍・補足)
注1 キリスト教の真理の特性
キリスト教真理の歴史的な啓示としての具体性について、新約聖書ヨハネの手紙Ⅰは次のように証言している。
「〔私ヨハネは、〕私たちが聞いたもの、よく見て、手で触れたもの、すなわち〔歴史世界に人間となって現れた〕命の言(ことば ロゴス)〔であるイエス・キリスト〕について-〔証言し、あなたがたに告げ知らせる〕」(ヨハネⅠ1:1)。
〔 〕内、下線は敷衍・補足
英 訳
English translation
The Life of Jesus as Historical Fact
[ ] is supplementary information